あなたは知っているでしょうか?
「慢性期病院や老人保健施設などの、福祉施設で働くPT/OTがふえてきているが、まだ、STが在住している病院や施設は全体としては少なく、施設に至っては一人職場の方もいる」
ことを!
また、
「回復期病院でも、施設からや家庭から廃用による摂食嚥下障害、また誤嚥性肺炎による入院が増えている」
現状を!
ちなみに、STの人は2013年3月現在では、
「2万1994名」
しかいません。
それに対して、患者さんの数はというと、
「10万人を超えている」
のが現状であり、人数に対して、対応できる人が極度に低いのです。
厚生労働省の発表によると、
「日本で肺炎が三大死因にランクインするのは、1951年以来のことであり、この肺炎による死亡者数のうち、約97%(約120,000人)が65歳以上の高齢者によるもの。」
「肺炎の95%以上が筋力の低下した高齢者であり、その内70%が誤嚥による肺炎が原因」
とされています。
この現状を打破するためには、どうしたらいいのか?
・歯科衛生士や看護師、介護職がしっかりと口腔ケアをする
・その人にあった食形態で、その人にあった食事時間で、焦らずゆっくりと食事をとれるようにする
・食事の際に誤嚥していることにいち早く気づき、対応していく
・身体を診る時間や関わる時間の多い、リハビリ職(PT.OT.ST)嚥下に関わることをリハビリとして、しっかりと関わっていく
ことが重要だと感じています。
2014年(平成26年)10月9日
一般社団法人 日本慢性期医療協会
会長 武久洋三 氏
より定例記者会見がなされた。
■ リハビリ提供体制の抜本改革への提言
[武久会長]
毎月、定例理事会の後に記者会見を開催している。本日はまず、「リハビリ提供体制の抜本改革への提言」についてお話ししたい。これは、10月2日に開催された「慢性期リハビリテーション協会」の役員会で決定した。内容は主に5点。
(1)出来高から包括への全面転換
(2)疾患別リハビリの廃止
(3)算定日数制限の撤廃
(4)9時─5時リハビリから24時間リハビリへ
(5)嚥下障害リハビリ、膀胱直腸障害リハビリの優先
その中で、(5)については、こう述べられている。
「嚥下障害リハビリ、膀胱直腸障害リハビリの優先」も主張したい。まずは人間性の回復を優先すべきと考えるからだ。おむつをして経管栄養しているような状態で、果たして歩行練習に熱心になれるのか。なれないと思う。ところが現在、嚥下障害は看護師や介護士に頼りきりで、食事介助などをすべて彼らがやっている。これでは、専門的な嚥下訓練にはならない。
嚥下障害を治すために、1日9単位のリハビリを行ったらどうなるか。急速に嚥下障害が回復するだろう。膀胱直腸障害の場合も同様のことが言える。尿が出ることが分かるようになれば、きちんとトイレ誘導ができる。ということは、おむつをしないで済む。
すなわち、現行のリハビリ提供期間を変えれば、人間性の回復につながる。これはリハビリテーションの基本であろうと思う。人間性を回復したうえで、歩行練習を本格的に行う。
また、平成27年1月8日の会見では、
2025年の日本の病床数は、現在の160万床から120万床に圧縮されるであろう。その内、「急性期病床」は「高度急性期」に集約され約20万床となり、全日本病院協会が掲げる「一般急性期」は「地域包括期」として「地域包括ケア病棟」に包括されて約40万床になると予想する。
軽度の患者を主な対象とするような療養病床は、介護施設や在宅に移行することになる。その一方で、「慢性期病床」には「急性期病床」や「地域包括ケア病床」から絶え間なく重症患者が転院してくることになり、約35万床と予想する。
と述べられている。
以前より包括化を訴えてきた協会であり、厚労省に対しても力を発揮している日慢協であるからこそ、今後、提言していることが実際の医療現場になっていくであろう。
そういったことからも、摂食嚥下障害に対するアプローチができる人材は必須となってくると考えられる。